(記事のトップ画像は、『IQOS 2.4 Plus』発売当時のアイコスストアの様子です。大きくクーポンについての表示もありますね)
前回の記事では、アイコスが消費者庁から5億円以上の徴収金が命じられたという旨をお伝えしました。
こちらの記事の最後に、例えば「なぜ5億円もの罰金が課せられたのか?」だったり、「なぜ他の企業は訴えられないのか?」といったことを記載して終えました。
今回の記事では、その推察を行います。
結論から言ってしまうと、「(消費者庁がいう)不正な割引キャンペーン中」に売り上げたアイコスの金額が非常に高いものだったから というものが回答の一つになるかと思います。
消費者庁は今回の罰金刑に対して
フィリップ・モリス・ジャパン合同会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
というプレスリリースを発表しています。その中に、当該キャンペーン中に売り上げた推定金額が記載されていました。消費者としては全体の金額を見ることはあまりないと思うので、この記事にてまとめたいと思います。
アイコスの割引キャンペーンが「不正」と認められたモデルと期間
消費者庁が「有利誤認であり不正」と認めた割引キャンペーン(期間)は、ざっくり言うと8期間あります。
うち、5期間に行われたのは『IQOS 2.4』モデルに対しての割引クーポン。3期間に行われたのは『IQOS 2.4 Plus』に対しての割引クーポンでした。
- 『IQOS 2.4』クーポン:平成28年4月1日から 同年5月31日までの間
- 『IQOS 2.4』クーポン:平成28年6月1日から 同年7月31日までの間
- 『IQOS 2.4』クーポン:平成28年8月1日から 同年12月21日までの間
- 『IQOS 2.4』クーポン:平成28年12月22日から 平成29年3月21日までの間
- 『IQOS 2.4』クーポン:平成29年3月22日から 同年6月20日までの間
- 『IQOS 2.4 Plus』クーポン:平成29年6月6日から 同年9月20日までの間
- 『IQOS 2.4 Plus』クーポン:平成29年9月21日から 同年12月21日までの間
- 『IQOS 2.4 Plus』クーポン:平成29年12月22日から 平成30年3月21日までの間
『IQOS 2.4 Plus』の発売日は平成29年(2017年)3月3日でした。しかし、実際すぐにはコンビニで買えるようになったわけではなく、2017年6月頃から地域限定でコンビニ販売が開始されました。
それが6番目の『IQOS 2.4 Plus』クーポンに該当します。後述しますが、『IQOS 2.4 Plus』は本当に待望の新型モデルとして大注目のアイコスでした。よって、販売金額は非常に高額なものとなっていました。
不正と認められた割引キャンペーン時の売上額
各割引キャンペーンの期間ごとに、消費者庁は推定売上金額を公表していました。以下にその金額をリストアップします。
モデル名 | 期間 | 売上金額 | 徴収金額 |
---|---|---|---|
IQOS 2.4 | 2016年4月1日〜5月31日 | 1,033,016,730円 | 30,990,000円 |
IQOS 2.4 | 2016年6月1日〜7月31日 | 867,807,272円 | 26,030,000円 |
IQOS 2.4 | 2016年8月1日〜12月21日 | 2,669,569,948円 | 80,080,000円 |
IQOS 2.4 | 2016年4月1日〜2017年3月21日 | 2,853,082,782円 | 85,590,000円 |
IQOS 2.4 | 2017年3月22日〜6月20日 | 1,995,599,032円 | 59,860,000円 |
IQOS 2.4 Plus | 2017年6月6日〜9月20日 | 4,405,014,180円 | 132,150,000円 |
IQOS 2.4 Plus | 2017年9月21日〜12月21日 | 3,111,563,747円 | 93,340,000円 |
IQOS 2.4 Plus | 2017年12月22日〜2018年3月21日 | 1,490,225,004円 | 44,700,000円 |
売上金額の合計額は、18,425,878,695円。約184億円の売上が計上されています。
その上で、この算定された売上額に対して3%に相当する金額を、課徴金として国庫に納付する命令が出されました。
その合計金額が、552,740,000円。つまり約5.5億円の課徴金が発生したわけです。
課徴金納付命令の抜粋
算定した売上額に百分の三を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が次の各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が百五十万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
課徴金が過去最高額ということは、不正な売上が「最高額」だったということ
今回、課徴金が5.5億円で過去最高額だったー ということが話題になりました。
つまりこれはどういうことかというと、公正取引委員会が発表している表を鑑みても、不正な売上の中でも最大級のものだったから消費者庁はじめ国に目をつけられた(問題視された)。というのが妥当な見方となります。
公正取引委員会のホームページには、課徴金に対する算定方法が記載されています。
今回のアイコスの問題は、「優良誤認表示行為」と「有利誤認表示行為」を対象として課徴金の納付が命じられています。
この有利誤認行為の中でも、過去最大の金額の売上をあげたからこそ、今回5億円もの罰金額を請求されているし、ニュースになったのです。
もし売上が少なかったら?
もし売上が少なかったら、ニュースにならなかったりそもそも課徴金が請求されない場合があります。
課徴金制度では、課徴金を命じない場合を明記しています。
- 主観的要素:違反事業者が不当な表示であることを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金を賦課しない。
- 規模基準:課徴金額が150万円未満となる場合は、課徴金を賦課しない。
また、実は課徴金は結構な頻度で命じられています。
なので、「あれ?このキャンペーンとかっていいの?」というものがたまにあると思いますが、そういったものは売上が少ないか、または売上が少ないから目をつけられていない可能性があります。
なので、今回のフィリップモリスの件はあまりに大きな金額だったし、あまりに大きくキャンペーンをうっていた(コンビニで何度も繰り返してた)ので、より問題視されたのだろうなぁと思いました。
アイコスさん
にしても、アイコスの人気はすごい
にしても、やっぱりアイコスの人気は(今もそうですが)すごかったんだなと思わされました。
『IQOS 2.4 Plus』に至っては、3ヶ月で40億円以上の売上です。しかもこの金額はあくまで割引キャンペーン適用に対しての試算かもしれないので、もしかしたらもっと大きな金額かも。成人向けたばこデバイスがここまでの売上を出すというのは驚きです。
なお今回、課徴金の納付が命じられたアイコスですが、あらためてになりますがもうこのような無期限延長の割引キャンペーンは行っていません。
現在あるキャンペーンといえば、季節限定割引キャンペーンですね。夏割とか春割とか。
アイコス3デュオ・マルチ割引キャンペーン一覧|クーポン使わずIQOSをお得に購入ちなみに、アイコス公式ホームページではしっかりと「今後もやるかもよ」という但し書きまで記載されています。
※当店における本プログラム実施中及び終了後も、一部のIQOS取扱い店舗でも、同額程度のプログラムが実施される予定です。
さすがにどんな事業者も年末セール!とか大手を振ってやっているので、このキャンペーンが問題視されることはない・・・と思いますが、今後もこれが刺されるかどうかはわかりませんね。