18歳から電子たばこ等の使用を合法化する「電子・加熱式たばこ規制法案」、通称「VAPE法」が26日、フィリピンで成立したと、共同通信グループのNNA ASIAが報じました。
これまで、フィリピンでは電子たばこやVAPEについて厳しい規制がかけられており、例えば国外からの持ち込みも禁止となっていました。その規制の原因となっていた「Vape Regulation Bill」としても知られる気化ニコチンおよび非ニコチン製品規制法が、署名なしによって2022年7月25日に失効したことを受けて、Vape法案が成立しました。
これにより、これまでVapeや加熱式たばこを利用できなかったフィリピンでVapeや加熱式たばこの利用が可能になったことを意味しています。また、法案の中では、これらの製品を利用できる年齢が21歳から18歳に引き下げられています。
フィリピンでは、Vapeや加熱式たばこなどの紙巻きたばこの代替品へのアクセスが容易ではなかったとして、1600万人を超える喫煙者が喫煙を続けてしまうことが懸念視されており、今回のVape法案によって、フィリピン国民の健康意識が高まるという声が上がっています。
しかし一方で、健康の専門家によると、若者の間で電子タバコの使用が増加することを意味しており、法律に異議を唱えているようです。
フィリピンでベイプ法案が可決
フィリピンでは元々、VNNP(Vaporized Nicotine and Non-nicotine Products)法案というものが制定されており、この法案は加熱式タバコ製品(HTP)や電子タバコなどのベイプ製品の輸入、製造、販売、流通、使用を規制するものでした。このVNNP法案が2022年7月25日に失効したことにより、新たなベイプ法が26日に成立した流れとなります。
第18議会の前副議長であるウェスリー・ガチャリアン バレンズエラ市長は、「ベイプ法は、禁煙できない1600万人のフィリピン人喫煙者に、よりよい代替手段を利用する機会を与えるもので、我々の喫煙との戦いにおける歴史的なマイルストーンである」と述べています。※1
ベイプ法案に賛成の声「喫煙代替品への切り替えで喫煙率が減少する」
またフィリピンの著名な医師の中には、Vape法案への支持を表明し、国内の喫煙率を下げ、1600万人以上の成人フィリピン人を喫煙関連の病気から救う画期的な法律であると賞賛している方もいるようです。サンフアン医療センター職員協会会長のロメオ・ルナ・ジュニア医師は、この法案を国内の喫煙問題を削減する公衆衛生法だと説明しました。
「喫煙者、非喫煙者を問わず、多くの医師が喫煙率を削減する法案を支持しており、それにはVAPEや加熱式タバコ製品(HTP)といった害の少ない代替品の使用も含まれます」とルナ氏は述べています。※2
ベイプ法案に反対の声「若者の間でベイプ利用が増加してしまう」
一方で反対意見も出ています。反対する健康擁護団体は、この法律が電子タバコ機器に対する規制を逆に弱める有害な意味を持つと指摘し、その採択に反対しています。
また、これらの製品にアクセスできる年齢を21歳から18歳に引き下げることになり、健康専門家によれば、若者の間でベイプの利用が増加することになるとの指摘も出ています。
タバコ規制枠組条約フィリピン連盟の事務局長であるマリア・エンカルニタ・リンピン博士は、声明の中で、この法律の成立に非常に失望していると述べ、「立法者がベイプ産業の商業的利益よりも彼らの健康と福祉を守ろうとした結果、フィリピンの若者が苦しむのを黙ってみているわけにはいかないだろう」と語っています。
※1:‘Vape Bill to save lives’
※2:Doctors: Vape bill to cut smoking rate
※3:Anti-vape advocates vow to challenge new law