プルームエックスでマールボロが吸えるように!?JTがアルトリアと連携し「加熱式たばこ」の常識を打ち破る

プルームエックスとマールボロ

業界を揺るがすほどのビッグディールが執り行われました。

日本たばこ産業(JT)が、米国のアルトリアグループと連携して、米国に高温加熱式たばこ販売を目的とする合弁会社を設立することを発表しました。

JTは言わずとしれた日本における大手たばこ会社であり、加熱式たばこ「Ploom(プルーム)」シリーズを販売しているメーカーでもあります。一方アルトリアグループは、米国における大手たばこ会社であり、米国で「マールボロ」などの紙巻たばこを販売しています。

この2つのたばこ会社が連携することで何が起こるのか?

当初10月27日にJTがプレスリリースを発表した際、「米国において加熱式たばこ販売を加速させる」という旨が中心的に各メディア媒体で取り上げられましたが、よくよくプレスリリースを見るとその具体的内容に驚きました。

「プルームエックス」で「マールボロ」シリーズを吸える世界が訪れるかもしれません。

Ploomでマールボロが吸えるようになる?

JTのプレスリリースには以下の通りの記載があります。

本合弁事業は、当社グループにおける Heated tobacco sticks(高温加熱型の加熱式たばこ。以下、HTS)のデバイスである Ploom(プルーム)と Altria 社における HTS のたばこスティックである Marlboro(マールボロ)を活用し、米国において HTS 製品を商業化することを目的としております。また、両グループは法的拘束力のない覚書を締結し、Reduced-Risk Products(喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品。以下、RRP)の更なる事業機会を探求するため、長期にわたる戦略的なグローバル・パートナーシップについても合意いたしました。

JTが米国において高温加熱式たばこ製品を商業化することが目的ーー

上記の通り記されていますが、私達加熱式たばこユーザーにとって重要なのは、「米国でプルームエックスを販売する」そのことよりも、その具体的な内容です。

プレスリリースには「Ploom(プルーム)と Altria 社における HTS のたばこスティックである Marlboro(マールボロ)を活用し、米国において HTS 製品を商業化することを目的」と記されています。

これはJTの高温加熱式たばこ…つまり「プルームエックスで、加熱式たばこスティックである「マールボロ」を活用した商業化が実施されると読み解くことができます。これには正直驚きました。

プルームデバイス
日本では既に様々な種類の「Ploom」デバイスが販売されている。
メンソールフレーバー
そんな中でも「プルームエックス」はJTが販売を加速させている”高温加熱式たばこデバイス”だ。

「加熱式たばこ」の常識が打ち破られるか

なにが衝撃的かというと、「Ploom」でこれまでフィリップモリス配下のたばこブランドであった「マールボロ」が吸えるようになるという世界が訪れるかもしれないという可能性です。

加熱式たばこが2016年より本格的に出回ってはや6年、加熱式たばこには普遍的なルールでありいわば「常識が存在しました。

すなわち、JTの「Ploom」加熱式たばこデバイスでは、JT製のたばこしか利用できない。フィリップモリスジャパン(PMJ)の「IQOS」加熱式たばこデバイスでは、フィリップモリス製のたばこしか利用できない。BATジャパンの「glo」加熱式たばこデバイスでは、BATジャパン製のたばこしか利用できない。という、自社加熱式たばこ製品では自社たばこしか利用できないという常識です。

様々な加熱式たばこデバイス
「IQOS」、「glo」、「Ploom」、いまや様々な高温加熱式たばこデバイスが、たばこ大手各社から販売されている。

たとえば、現状JTの「プルームエックス」はJT製の「メビウス」と「キャメル」しか利用することができず、PMJ製の「マールボロ」や「テリア」を利用することができません。

この常識があったからこそ、たばこ会社各社はジレンマ的に自社加熱式たばこデバイスの販売を(時には採算度外視で)続けてきており、「IQOS」のシェア拡大は結果的にJTを経営的に脅かし、JTは「Ploom」拡大の好機をずっと狙い続けてきました。

そんな中での、今回のJTの発表です。この発表によれば、Ploom製品でフィリップモリスブランドの「マールボロ」が利用できるようになる可能性が明記されています。

プルームエックスでもマールボロが吸えるーー

前述した「加熱式たばこ」のいわばジレンマ的な常識が打ち破られる可能性が見えてきたのです。

プルームエックスがついに米国展開

「メビウス・オプション・グリーンマスカット」をレビュー
JTの加熱式たばこデバイス「プルームエックス」は、まだアメリカで販売されていない。

今回のディール決定によりプルームエックスの米国展開が本格化します。

JTの高温加熱式たばこ「プルームエックス」は英国や日本において販売が開始されていますが、いまだ米国での販売を開始していませんでした。これに対して、今回のプレスリリースでは以下のように周知されています。

合弁契約により設立される合弁会社 Horizon Innovations LLC(以下、本 JV)は、米国において、両グループそれぞれが現在及び将来において所有・開発する HTS 製品の商業化を担い、Ploom 及び Marlboro を展開する予定です。

しっかりと、高温加熱式たばこ製品の商業化を狙う上で、「Ploom(ここではプルームエックスの意)」および「マールボロ」の展開を予定している決定を発表しています。

これをもってしても、アメリカでプルームエックスが販売される際には、現在プルームエックスで吸えるJT製の専用たばこ「メビウス」や「キャメル」ブランドが主で展開するのではなく、あくまでフィリップモリス製の「マールボロ」が主で展開されることが読み取れます。

JTが少なく、フィリップモリスが多い利益配分

米国においては、たばこ製品に対する非常に強い圧力がかかっており、簡単に展開できないことが知られています。事実、フィリップモリスインターナショナルの「IQOS」も米国での販売開始まで、相当長い年月が費やされました。

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アイコス3の画像

だからこそ、JTが米国で自社加熱式たばこデバイスを販売するキッカケ作りが非常に難しいものがあったと思われます。

その結果として編み出されたのが、JTの加熱式たばこデバイスでフィリップモリス製のたばこを利用できるようにするという妙案だったのでしょう。

しかしその代償(ここでは「代償」とあえていいます)として、合弁会社における損益分配の比率は、JTが25%、PM USA 社を75%と設定しており、JTが少なくフィリップモリスが多い配分と設定されているようです。

今回JTがプルームエックスを日本展開できる見通しが立ったものの、今後JTが現在日本で販売されている「メビウス」や「キャメル」ような加熱式たばこ専用銘柄を米国で販売開始しない限り、利益はどんどんフィリップモリスにいってしまう形になってしまうのは注意すべきポイントであるとも考えられます。

米国での販売開始は2025年が目処

米国にJTグループとアルトリアグループが作った合弁会社は、これまで培ったReduced-Risk Products(喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品)に関する科学的知見や法規制に関する情報を共有し、米国食品医薬品局(FDA)に対して2025年上期を目処に、Ploomの最新バージョンの販売前申請をするという発表もしています。

この承認が得られ次第、JTは米国にプルームエックスデバイスを供給し、PM USA社は高温加熱式たばこスティックを製造する決定をしており、既に合弁契約において、両社は製品流通やマーケティング投資に関する条件を含む商業化のマイルストーンに合意しているというということです。

つまり、米国でのプルームエックスとPloom版マールボロの販売開始は少なくとも2025年以降が予定されています。

しかし、今後プルームエックスが日本において改良していく可能性も高く、プルームエックスでマールボロが吸える世界が日本で先にやってくる可能性もあるかもしれません。

引き続き「加熱式たばこ」を中心に、たばこ業界は大きく変革していきそうです。