日本政府が加熱式タバコについての科学研究を進めています。正式な資料が発行されたのでこの記事ではその結果を読み解いていきます。
アイコス・プルームテック・グローに対する日本政府の評価は?ニコチン濃度・発がん性物質をはじめ、今後の禁煙法にも絡んでくることなので是非チェックしておきましょう。
厚生労働省が研究する加熱式タバコの有害性
2020年、オリンピックの年に向けてタバコ絡みの法律に絶賛調整が続いています。「健康増進法」という法律の中に「受動喫煙対策」が明記されており、全面禁煙についての旨が明記されています。
ただ全面禁煙といっても、「加熱式タバコは専用喫煙室を認める」などアイコス・プルームテック・グローには特別の措置が取られています。これから2020年に向かっては「喫煙室 ≒ 加熱式タバコ専用室」というイメージが大きくなっていくでしょう。
そんな決定を下すにあたって厚生労働省が加熱式タバコについて独自に研究を行った結果が公表されていました。その中には加熱式タバコそれぞれのニコチン量や発がん性物質についての実数値がまとめられています。
加熱式タバコ利用者なら、当事者としてしっかりこういった科学的実数値は認識しておくと良いですね。今回はその資料を読み解いていきます。
2018年4月時点の科学的知見まとめ
資料のまとめによると、以下のように概要付けられています。
- 加熱式たばこの主流煙には、紙巻たばこと同程度のニコチンを含む製品もある
- 加熱式たばこの主流煙に含まれる主要な発がん性物質の含有量は、紙巻たばこに比べれば少ない
- 加熱式たばこ喫煙時の室内におけるニコチン濃度は、紙巻たばこに比べれば低い
加熱式タバコにはニコチンも発がん性物質も含まれているが、紙巻たばこに比べればその数値は低いとのこと。
これまでアイコス・プルームテック・グローなどの加熱式タバコ各社、FDA(アメリカ政府)、外部研究機関もこぞって研究し科学的知見を公表してきましたが、おおかた同じ結果となっています。
ただし、タバコの有害性を調査するのはなかなか難しいらしく、方法は各組織で異なっているようです。なので細かい数値は異なっていることに注意して下さい。
今回お伝えする厚生労働省発表の研究結果は、かなりシビアに厳しい環境での調査となっているようです。
疑問は残る検査方法:数値が大きく反映される?
細かい数値を見る前に、検査方法をはじめに確認しておきましょう。
喫煙スペース | 検査方法 |
---|---|
換気のない電話ボックス程度の広さ 一般的な喫煙室環境よりも、たばこの煙が多い相当程度厳しい室内環境を再現 |
同一人物が、紙巻たばこ、加熱式たばこそれぞれを50回吸引(紙巻たばこ4本分程度) 喫煙開始から1時間、室内の空気を採取し、室内ニコチン濃度を測定 |
換気がない電話ボックス程度の広さ(80cm×80cm×2.2mの部屋)で同一人物が「紙巻たばこ」と「加熱式タバコ」をそれぞれ4本程度を吸います。喫煙開始から1時間空気を採取して室内ニコチン濃度を測定するものです。
換気がまったくない特殊な状態
まず、ここで注意したいのが「換気がまったくない特殊な状況」という点です。実際、この資料には
より安全面に立って評価するため、一般的な喫煙室環境よりも、相当程度厳しい環境で測定
と明確に記載されています。
また、測定中の出来事ですが
紙巻たばこにおいては、実験した部屋が煙で充満し、被験者が咳き込むほどの状態であった
という程の状態だったようです。このような相当厳しい環境での測定を行ったという事実はしっかり考慮しておきましょう(なお、この研究方法については懐疑的意見も寄せられていますが後述します)。
加熱式タバコの種類を確認
それでは、ここからは各加熱式タバコのニコチン濃度、発がん性物質がどれだけ含まれているか、分析の結果を見ていきます。
と、その前に一応今回対象となる加熱式タバコを確認します。
はじめにですが、政府発表の資料には明確に名前が明記されていません。「加熱式たばこA」「加熱式たばこB」「加熱式たばこC」と表記されています。
ただし、内容は明らかで、厚生労働省が説明している「加熱式たばことは」という資料には写真付きで三種類が説明されています。概要として、
- たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼させず、専用機器を用いて電気で加熱することで煙を発生させるもの。加熱の方法や温度などは製品ごとに異なる。
- 日本国内では、平成26年より順次発売が開始されている。
- 副流煙はほとんど発生しない。
と説明された上で、各製品を以下のように説明しています。
いわずもがな上から
- IQOS(アイコス)
- glo(グロー)
- PloomTECH(プルームテック)
ですね。
後述する詳細な数値には「加熱式たばこA」などと表記されていますが、ニコチン濃度などから考えるに明らかに
- 加熱式たばこA:IQOS(アイコス)
- 加熱式たばこB:glo(グロー)
- 加熱式たばこC:PloomTECH(プルームテック)
なので、その前提で見ていきます。
加熱式たばこと紙巻たばこのニコチン濃度比較
さて、まずはニコチン濃度の比較をみておきましょう。以下のように報告されています。
- 主流煙において紙巻たばこと同等程度含まれるものがある「ニコチン」を測定
- 同一条件下(換気のない狭い室内で喫煙した場合)で室内のニコチン濃度を測定したところ、紙巻きたばこ(1,000 ~2,420 µg/m3 )に比べ、加熱式たばこ(26~257 µg/m3 )では低かった
加熱式タバコ | 紙巻たばこ | 加熱式タバコのニコチン濃度比率 |
---|---|---|
26~257 µg/㎥ | 1,000 ~2,420 µg/㎥ | 約8% |
試験の結果では明確に、
加熱式たばこ(26~257 µg/m3 )< 紙巻きたばこ(1,000~2,420 µg/m3)
だったことが報告されています。それぞれのニコチン濃度の平均値を割って、加熱式タバコと紙巻たばこを比較すると、加熱式タバコは約8%しかニコチン濃度がないことがわかります。
加熱式たばこと紙巻たばこの発がん性物質比較
続いて各製品の発がん性物質を比較していきます。
以下の表は、紙巻たばこの主流煙に含まれる各成分量を100%としたとき、各製品は何%含まれているかを表しています。尚、明確な数値は公表されていないため「約」という前提です。
発がん性物質 | アイコス | グロー | プルームテック |
---|---|---|---|
アセトアルデヒド | 約13% | 約16% | 約0% |
ホルムアルデヒド | 約12% | 約14% | 約0% |
ベンゼン | 約1% | 約0.5% | 約0% |
ベンゾ[a]ピレン | 約2% | 約2% | 約0% |
たばこ特異的ニトロソアミン(NNN) | 約2% | 約9% | 約0% |
たばこ特異的ニトロソアミン(NNK) | 約2% | 約4% | 約0.5% |
クリセン | 約5% | 約6% | 約3% |
ベンゾ[a]アントラセン | 約2.5% | 約2.5% | 約0.5% |
ナフタレン | 約1% | 約1% | 約0.5% |
いずれの発がん性物質を見ても、各製品ともに約90%程度削減していることがわかります。
特に顕著なのはプルームテックですね。実際にプルームテックは有害性物質を99%カットしていると公式に述べているだけあって、数値に現れている気がします。
ここでチェックなのが、そもそも加熱式タバコにタールは含まれていないということです。逆に考えると、紙巻たばこはこれらの発がん性物質が全て100%&タールも入ってくるというわけですから、紙巻たばこの有害性をより理解できますね。
加熱式タバコの研究は続く
政府が研究発表した加熱式タバコの有害性について見てきました。今後もこの健康への影響研究は継続されるようです。
加熱式たばこの主流煙に健康影響を与える有害物質が含まれていることは明らかであるが、販売されて間もないこともあり、現時点までに得られた科学的知見では、加熱式たばこの受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難。このため、今後も研究や調査を継続していくことが必要。
さて、ここで一方的な政府の研究結果ではなく、この研究への反響も見ておきましょう。
調査方法に懐疑的な意見も
この研究結果について、調査方法から懐疑的な意見も寄せられています。
受動喫煙対策の調査であれば、換気施設のある室内空間などを対象とすべきなのに、なぜ換気のない狭い空間の数値を取り上げているか。これでは現実の飲食店などの空間よりも数値が大きくなるのは明らかです。(医学研究者)
引用)日刊ゲンダイ
上述したとおり調査方法はかなり特殊な環境下で行われました。普通、換気装置もない密閉された空間でタバコを吸うことなんて稀ですし、各加熱式タバコのメーカーが調査した研究結果とは数値が異なることは明らかですね。
そもそもこの研究は「厚生労働科学特別研究事業」という一環として行われています。その中の「非燃焼加熱式たばこにおける成分分析の手法の開発と国内外における使用実態や規制に関する研究」という研究課題で調査が進行されており、約2,400万円という予算が当てられているようです。
なお、この2,400万円という金額は他の研究課題と比較しても高いほう。しっかりと様々な観点からの研究を行ってもらいたいところですね。
当面は加熱式タバコ専用ルーム
この発表を受けて政府は加熱式タバコについては、通常の紙巻たばことは少々異なる以下のような対応を取っています。
- 加熱式タバコは、喫煙OKの飲食店なら利用可能
- 加熱式タバコ専用の喫煙室なら設置可能
紙巻たばこは2020年時点ではほぼすべての室内での喫煙が困難になりますが、加熱式タバコは条件付きでOKという形になっています。
今後も研究が続き、その結果から様々な対応が取られていくことでしょう。「アイコスさん」では引き続き加熱式タバコの様々な情報をお届けしていきます。
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